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ストロベリーケーキ4(HD)

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ー 6月3日 ヒロが生まれた日・・・

とうとうこの日がやってきた。プレゼント、結局何にするか決められなくて・・・ウツの言葉に乗っかってみようと思ったんだけど・・・。
ここに来てかなりヤバい気がしてきた!
今からでも遅くない。他の物、買ってこようかなぁ・・・?
そう思い車のキーを掴んだ瞬間!・・・僕の携帯にヒロからメール!

ー 大ちゃん、起きてる? ちょっと早いけど、もう行くね!何だか落ち着かないし(^_^)
   寝てても良いから、とりあえず後10分くらいで着くよ!それじゃぁ!

・・・・えぇぇぇっ!!なんで・・・!予定より2時間も早いじゃん! これじゃぁ買い物に行けないよぉ~・・・・。

ヒロの余りの早さに僕はワタワタと支度を始める。
プレゼント・・・やっぱり、アレしかないのかなぁ・・・。
その間にもどんどんと時間は過ぎていき・・・僕は仕方なくウツから貰った袋に手をかけた。

ー ガサゴソ・・・

・・・大きいけど、何だろう?
僕は丁寧にリボンを解き、中の箱を開けてみた。

・・・・コレ、何・・?
出てきたのは真っ白いキラキラしたモノ・・・!
とりあえず箱から出して広げてみる・・・・と・・・・えっ////!!
僕は一瞬自分の目を疑う。

中から出てきたその白いキラキラしたモノは・・・ウエディングドレス!!それも何故かミニ丈!?

僕はすぐさまウツに電話して文句をぶつける!
『ちょっと、アレはなんですか!?一体僕にどうしろと!な、なんでっ・・・ウ、ウエディングドレスを・・////!!』
怒りやら恥ずかしいやら、自分の感情が追いつかない僕の抗議を一通り聞いていたウツが、反論とばかりにその正当性を話しだした。

『だってさぁ、純白のウエディングドレスって何かいいだろ?ww それこそ男の夢だし、ヒロも間違いなく好きだと思うんだよね?確か、この前ケンカしてプロポーズされたんだって?ヒロと飲んでて聞いたんだけど・・・ww
まだ結婚式はしてないよなぁって木根と話してたら・・・それならウエディングドレスにすれば?ってなったんだよ!』
『・・・ヒロ、話したんだ・・・・////  にしてもウツ、あのね、僕が女の子に見えるの?そもそもそれなら何でタキシードじゃないんだよ!それに・・・それに「ミニ」って!!』
『あぁ、タキシード・・・着たかったの?でもさ、花嫁さんはウエディングドレスだろ?一応大介が男だって知ってるけど・・・やっぱそっちの方がヒロも喜ぶと思うし♪ミニにしたのは木根のアイデアねwwアイツがミニ丈の方が燃えるとか言ってたから!あっ、それちゃんと新品だからな!  しっかし、ドレスって結構するんだなww 木根と半分ずつでよかったよ・・ww』

ー この場合、僕はお礼を言うべきなのか・・・? いやいや・・・違う・・・よ、ね??

『そんな高価な物、頂けないのでお返ししますっ!!』
僕は受け取れないと断ってみたんだけど・・・すぐさまウツの甘い声で諭される。

『きっとさ、今の世の中じゃあ同性の結婚とか・・・難しいことも多いと思うんだ。それでもお前達はこの先も一緒に居る事を選んだ。それは普通に話せないことだし知られるわけにもいかない。隠さなきゃいけない事だらけなのにな! ・・・形はどうあれ、区切りとしてそういうのもいいんじゃないか?表向きのビジネスパートナーじゃない、個人としての大介とヒロのけじめ・・・20年目の結婚式・・・なんてなww』
『・・・ウツ・・・』
『まぁ・・・自分にリボン巻くよりデコレーションが有った方がいいだろ♪ちなみに、ヒロの方にもちょっとした業務命令を出しといたからww』
『えっ?・・・・ウツ・・・それは・・・ー プツッ! ー』
僕が聞き返す途中で電話は切れてしまった。

ヒロに業務命令って・・・??

ウツが何を言ったのか気になるんだけど・・・でも、僕は・・・ううん、僕たちは恵まれてるのかもしれない。
僕たちの関係は公には出来ない事だらけ、友人にさえ話せないもの。そんな中でも僕とヒロのことを認め、さらに見守ってくれる人がいる。
同じ音楽仲間として、偉大な先輩として僕たちを認めてくれるウツや木根さん。

ー 二人には・・・・一生頭が上がらないなぁ・・・。

これは、優しい人たちからの優しいお節介なのかもしれない。
そう思うと何だかくすぐったくなった。

こうなったら・・・着るしかない、よね・・・///
僕は意を決してドレスを持ったまま脱衣所へと駆け込んだ。

・・・・う~ん・・・・これ背中のファスナーが・・・上げれない・・!

身体の固い僕に背中に手をまわすなんてできなくて、必死に格闘するも未だに届かない・・・。

そうしてるうちに、いきなり脱衣所のドアが大きく開かれて、ビックリした僕はその場で固まった。

『だ、いちゃん・・・!?』
その声にぎこちなく振り返ってみれば・・・・ヒ、ロ・・・?!
ドアノブに手をかけたまま、目を見開いて同じく固まったままのヒロの姿・・・・?
あれ?・・・いつもと、何か違うような・・・・っ!?

そこにいたのは確かにヒロなんだけど・・・服が、何故かタキシード!

暫くお互いの姿に反応できないまま、無言の時だけが過ぎて行く。

ー 『『ヒロ(大ちゃん)、カッコイイ~(可愛い~)』』
ようやく出た言葉は・・・お互いの褒めあい、だった・・・。

それがおかしくてひとしきり二人で笑いあった後、僕はヒロの格好の経緯を聞く事にした。
『ねぇ、どうしてタキシードなの?僕、服装は指定しなかったよね?』
『うん、大ちゃんはね! ただ昨日の朝いきなりウツさんから電話があってさ、大ちゃんが誕生日のサプライズを考えてるって聞かされたんだ!その中でドレスコードのあるお店を予約してるからって!最初はもう少しラフな格好も考えてたんだけど・・・その後木根さんからメールで、タキシードにしないと浮いちゃうよ!って言われたんだ。』
ー さすが、二人ともヒロの行動パターンを読んでる・・・ww

僕たちは揃ってお兄様達にしてやられたってことかな・・・?
でも、改めてヒロを見ると本当に恰好よくて・・・こんな旦那様なら幸せだろうなぁと、まるで他人事のように思ってしまう。
それに比べて・・・僕のこの姿って・・・やっぱり、おかしいよね・・・・?
そんな事を考えてたらだんだんと落ち込んできた・・・。

すると、ヒロがおもむろに僕の後ろに立って、ゆっくりと背中のファスナーを上げてくれて・・・項に軽くKissをした。
驚いた僕は俯いてた顔を上げ、正面の鏡越しにヒロを見る。

そこには、今まで見た中で一番の優しい目をしたヒロの顔があった。

『大ちゃん、綺麗だよ。今までで一番! こんなに綺麗で可愛い人が、オレの生涯のパートナーになってくれるなんて・・・最高に幸せな気分♪』
『ヒロ・・・////』
『これって、ウツさんと木根さんが?』
『・・・うん・・。僕がプレゼントで悩んでたら、モノより思い出の方がヒロは喜ぶんじゃないか?って。それで、二人で過ごす用にヒロの喜びそうな衣装を用意してやるって・・・////』
『そっか・・・。優しい先輩方に感謝、だね! まさか、こんな素敵な大ちゃんが見られるなんて!』
そう言ってヒロは後ろから抱きしめてくれた。

ヒロが本当に嬉しそうな表情をみせるから・・・・何だか僕も幸せな気分になる・・・////
先輩には、心の中で感謝をしながら。

『ねぇ、大ちゃん!これってレンタルじゃないよね?』
ヒロに突然聞かれ、僕は「プレゼントだよ」と教えてあげる。
『じゃあこのまま食べてもいい?大ちゃんの可愛い姿にオレ・・・我慢、できない・・・///』
『ヒロ・・・////  うん、残しちゃだめだよ・・・////!』

ー ヒロはそのまま僕をお姫様抱っこして寝室まで運んでくれ、静かにベッドへと下ろしてくれた。

『これから、病める時も、健やかなる時も、生涯大介だけを愛し続けることを誓うよ!オレの花嫁さん♪』
『僕も・・・ヒロだけを愛し続けることを誓います。それと、遅くなったけど、HappyBirthday!僕の旦那様♪』

ー 僕たちはヒロの誕生日に、二人だけの結婚式を挙げたんだよ!  ごめんね、ファンのみんな!
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